チラシ制作の基礎知識
チラシを制作するにあたって、これだけは知っておいていただきたいこと、制作するときに決めなければいけないことなどの、基本的なことをご説明いたします。
チラシの配布方法について
種類 | 仕様・形状 | 特徴 |
---|---|---|
新聞折込 | 朝刊に折り込んで配布します。
読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞の他、地方紙もお選びいただけます。 主なサイズは、B2(十字折)B3(二つ折り)。 最小サイズはA6(はがきサイズ)です。 多くのチラシをまとめて折り込むため、小さすぎると他のチラシに埋もれてしまい目立たなくなってしまいます。 規格サイズのほか、不定形サイズや円形などの変わった形のチラシもあります。 |
指定の地域に一斉に配布することができます。
日付や期間の決まったイベントの告知に利用されることが多いです。 地域に密着したものが多く、スーパーなどの小売店、不動産情報、学習塾などのものが目立ちます。 インターネット・スマートフォンの普及で新聞購読者が減っていることもあり、特に若年層へのアピールには不向きな媒体となりつつあります。 折込料金は、配布地域・チラシのサイズにより異なります。 |
ポスティング | 各家庭、事業所のポストに直接投函する手法です。
ポストに投函しやすいようB5やA5など、小さめのサイズが中心です。A4サイズ以上のものは、折り加工を施して配布します。 |
配布員が一軒一軒のポストに投函しますので、配布完了までに一定の期間が必要です。
投函禁止とされる物件も多く、全ての住宅・事業所に配布するのは難しくなります。 戸建のみ・マンションのみなどといった配布先の指定も可能です(配布業者により異なります)。 多数のチラシをまとめて配布する新聞折込と比較すると、手にとってもらえる機会は高くなります。 配布料金は、地域・サイズ・重さなどによって異なります。 |
郵送
(DM) |
特定の顧客名簿を元に、ターゲットを限定してチラシを配布する方法です。
近年では、郵便局が行う広告郵便のほか、民間の宅配業者が行うダイレクトメール支援サービスもあり、条件を満たすと割安で発送することができます。 |
個人を特定してお送りする「郵送」という手段を用いる事で、チラシを信頼していただきやすくなり、未開封のまま処分、ということは少なくなるでしょう。
ダイレクトメールをお送りするには送付先住所のリストが必要です。 新聞折込やポスティング配布に比べて配布単価は高くなりますが、効果も高くなります。 |
配達地域指定
郵便物 |
郵便局が行う、指定した地域の全戸に郵便物をお届けするサービスです。
長さ34cm以内、幅25cm以内、重量100g以内で、形状、重量および取り扱いが同一のものに限ります。 表面に指定の表記事項があります。 |
地域を指定するのみで、郵便物でありながら送付先住所のリストは必要ありません。
ポスティングと似た手法ですが、郵便局が郵便物としてお届けしますので、より多くの家庭・事業所に配布することができます。 配布単価は重さにより異なります。 |
サイズについて
輪転サイズ B版
サイズ名 | 仕上がりサイズ | 印刷面サイズ | 化粧断裁サイズ |
---|---|---|---|
輪転B2 | 545×765mm | 525×740mm | − |
輪転B3 | 382×546mm | 364×525mm | 364×515mm |
輪転B4 | 270×382mm | 254×367mm | 257×364mm |
輪転B5 | 191×270mm | 178×254mm | 182×257mm |
輪転サイズ D版
サイズ名 | 仕上がりサイズ | 印刷面サイズ | 化粧断裁サイズ |
---|---|---|---|
輪転D2 | 546×813mm | 524×792mm | − |
輪転D3 | 406×546mm | 386×524mm | − |
輪転D4 | 270×406mm | 254×386mm | 257×386mm |
輪転D5 | 203×270mm | 188×254mm | 188×254mm |
規格サイズ A版
サイズ名 | 仕上がりサイズ |
---|---|
A0 | 841×1189mm |
A1 | 594×841mm |
A2 | 420×594mm |
A3 | 297×420mm |
A4 | 210×297mm |
A5 | 148×210mm |
A6 | 105×148mm |
A7 | 74×105mm |
A8 | 52×74mm |
A9 | 37×52mm |
規格サイズ B版
サイズ名 | 仕上がりサイズ |
---|---|
B0 | 1030×1456mm |
B1 | 728×1030mm |
B2 | 515×728mm |
B3 | 364×515mm |
B4 | 257×364mm |
B5 | 182×257mm |
B6 | 128×182mm |
B7 | 91×128mm |
B8 | 64×91mm |
B9 | 45×64mm |
断裁方法について
仕上がりサイズ(A版 or B版)や、断裁方法は印刷方法(平版印刷 or 輪転印刷)によって異なります。
A版の場合
全て化粧断裁です。
B版の場合
平版(枚葉)印刷→化粧断裁
輪転印刷→袋断裁(化粧断裁はオプション対応)
- 平版(枚葉)印刷
- カットされた用紙を使って行う印刷方式。
- 輪転印刷
- ロール状の紙に連続的に印刷を行う印刷方式。高速印刷・大量生産に向いています。
- 袋断裁
- 輪転印刷機にセットされた断裁機で断裁したもの。印刷面の周囲8mmほどの余白が付きます。
- 化粧断裁
- 輪転印刷において、四辺に付いている白フチ部分を断ち落すこと。
枚葉印刷においては、紙のサイズに合わせて版を敷き詰めて印刷されたものを、仕上がりサイズに裁断すること。
四隅に配置される角トンボという目印に合わせて断裁します。
用紙種類
コート紙 | 上・中質紙を原紙とし両面に1平米あたり20kg前後のコート剤・白土(クレー)が塗布(コーティング)されている用紙のことです。
一般的な商業印刷に最も多く用いられている、ツルツルとした用紙です。両面に少々の光沢があり、写真や色の再現性にも優れています。 鉛筆で書き込んだり、スタンプを押したりするには向いていません。 また、レーザープリンターやインクジェットプリンターでの印刷にも不向きです。 |
---|---|
マットコート紙 | コート紙と比べると光沢が抑えられており、落ち着いた雰囲気を演出したい場合に最適です。光の反射による紙面のちらつきが少ないため、文字の可読性が高く、上品で落ち着いた仕上がりとなります。
筆記性に優れているため、鉛筆・ペンなどで文字などを書き込むことが可能です。 スタンプの捺印も可能です。 |
上質紙 | 表面、裏面ともコーティングされていないパルプ100%の非塗工紙です。コピー用紙としても使用されています。 コート紙と比べると紙のコシが強く、1~2ランク上のコート紙と同じくらいの厚みに感じられます。 平滑性(表面の滑らかさ)が低いため発色は落ちますが、筆記適正が高く鉛筆やボールペンなどの手書き文字が書き込める特徴があります。 筆記性に優れているため、鉛筆・ペンなどで文字などを書き込むことが可能です。 また、スタンプ(印鑑)の捺印が可能です。 |
更紙 | 紙の品種分類において、化学パルプ40%未満の下級印刷紙として区別される、塗工が施されていない非塗工印刷用紙の一種です。
機械パルプを主な原料とし、少量の化学パルプを混ぜ合わせて作られています。 透明度が低く、新聞用紙やチラシ、雑誌、漫画誌などといった読み物の印刷に適した紙種です。 「ざらし」「ざらがみ」と読みます。 |
- 機械パルプ
- 物理的な力(すりつぶすなど)で木材を破砕することでパルプ化したもの。純度は低い。
- 化学パルプ
- 機械パルプを化学的な反応で分離したもの。紙にしたときの強度は強い。
紙の厚さ
印刷に使用される紙の厚さは「kg(キログラム)」という単位を使うのが一般的です。
厚さなのに、重さの単位である「kg」を使うのには違和感があるかもしれません。なぜ「kg」を使うのかというと、紙の取引価格が「kg」で行われることが多いからです。
では「○○kg」というのは何の重さなのでしょうか。これは印刷用紙の全判1,000枚の重さです。
全判とは、断裁されていない印刷用紙(製紙工場で出来上がったままの紙の大きさ)のことです。
全判1,000枚を1連(れん)という単位で表すことができ、1連の重さを「連量(れんりょう)」と呼びます。
先述の「全判」はJIS規格で大きさが定められているのですが、いくつかの種類があります。
四六判 | しろくばん | 788×1,091mm | 印刷業界では通常この四六判を基準にして紙の厚さを表記することが多い。規格A版の印刷にも使用される。 |
---|---|---|---|
B判 | びーばん | 765×1,085mm | B列本判。B4判の8倍の寸法に断裁余白を含んだ寸法。 |
D判
(JIS規格外) |
でぃーばん | 813×(1,092mm) | タブロイド判とも言う。商業用オフセット輪転機(商業オフ輪)で印刷する場合に使用する。スポーツ新聞などのサイズ。 |
A判 | えーばん | 625×880mm | A列本判。A4判の8倍の寸法に断裁余白を含んだ寸法。 |
菊判 | きくばん | 636×939mm | 明治の中頃に輸入された用紙のサイズが元になっている。当時は新聞用紙の寸法だったが、一般の出版物にも使われ始めた。規格B版の印刷にも使用される。 |
上記のように、用紙のサイズが異なります。
つまり「同じ紙質」「同じ厚さ」であっても、判によって「連量」が違うというわけです。
さらに「重さ」を基準にしているため、紙の「密度」によっても厚さが変わってきます。
「コート紙」「マットコート紙」「上質紙」などの「化学パルプ」を原料にしている紙は密度が高いため連量が大きくても薄いのですが、同じ連量でも「更紙」は紙の密度が低いため少し厚くなります。
下記は、各判の連量と厚さの相対表です。縦の列で揃っているものが同等の厚さです。(クリックで拡大)
※更紙については比較しにくいため省いています。
サイズごとの対応用紙
仕上がりサイズごとにご確認ください。
(例)仕上がりサイズ:A3→A判
B判 | コート紙
42.5kg48kg50kg53kg58kg65.5kg70.5kg87kg
マット紙 53kg67.5kg 上質紙 53kg67.5kg 高白更紙 38kg43kg 新聞更紙 35.5kg 黄色更紙 40.5kg ピンク更紙 40.5kg |
---|---|
D判 | コート紙
53.5kg57kg70kg
マット紙 51.5kg57kg72.5kg 上質紙 57kg 高白更紙 43kg 新聞更紙 38kg 黄色更紙 43kg |
A判 | コート紙
35kg46.5kg57.5kg70.5kg86.5kg
マット紙 44.5kg57.5kg70.5kg86.5kg 上質紙 35kg44.5kg57.5kg70.5kg86.5kg |
記載のない用紙がご希望の場合はご相談ください。可能な限り対応させていただきます。
輪転機印刷の特徴
輪転機とは大部数を得意とする印刷機です。
用紙がロール状になっていて連続的に印刷するので、短時間・大部数の生産が可能です。
乾燥装置が付いているので、印刷した直後に断裁などの加工ができます。
輪転機印刷物の特徴
四辺に8mm程度の余白ができる。
四辺の一部がギザギザになる。
余白一部に小さな穴が入る。(鍵穴と呼ばれています。)
余白にダイヤマークが印刷される。(印刷時に必要なものです。)
印刷された商品の表裏上下が揃わない。
折りが入る場合、中央の折りの精度が落ちてしまう。(機械の性質上ご了承ください。)
インクについて
当社では環境に配慮した「ベジタブルオイルインキ(植物油インキ)」を使用しています。
ベジタブルオイルインキ(植物油インキ)
ベジタブルオイルインキ(植物油インキ)とは、大豆油、亜麻仁油、桐油、ヤシ油、パーム油等植物由来の油、及びそれらを主体とした廃食用油等をリサイクルした再生油で作られたインキのことです。
ベジタブルオイルインキは、次のような特性があります。
●石油性に比べると、大気汚染の原因となる成分の発生が少ない。
●印刷物の再生紙への利用が簡単(紙とインクが分離しやすいため)。
●紙を廃棄する際、土に帰りやすい。
詳しくは印刷インキ工業連合会のページをごらんください。